2013Y ダッジ チャレンジャー エンジン不調

2013年 ダッジ・チャレンジャー 392HEMI エンジン不調修理

今回は、2013年式ダッジ・チャレンジャー 392HEMI のエンジン不調修理です。

お預かり時の症状としては、
アイドリング時にエンジンがブルブルと大きく振動し、チェックエンジンランプも点灯していました。

まずは診断機を接続してトラブルコードを確認します。
結果は—— P0300ミスファイヤ(失火)が連続発生している状態、そしてミスファイヤーデーターを確認すれば、5番シリンダーのミスファイヤーでした。😰

ここから原因を一つずつ追っていきます。

点火系の点検からスタート

まずは、簡単に確認できる点火系から点検を進めます。
5番シリンダーのミスファイヤが続いているため、
イグニッションコイルを他のシリンダーと入れ替えてみました。

しかし、症状に変化はありません。
念のため、コンピューターからの点火信号もしっかりチェックしましたが、
信号ロスの形跡もなし。
どうやら点火系の不良ではなさそうです👍

次に、フューエルインジェクターの作動音を確認。
どのシリンダーも同じように「カチカチ」と作動しており、燃料の噴射にも問題はなさそう。


となると、気になるのは圧縮(コンプレッション)。

念のためコンプレッションも計測してみましたが、
他のシリンダーと比べて極端に低い数値ではない様子。

ここまでの点検結果を踏まえると、
どうやら原因は**エンジン内部(メカニカル部分)**にある可能性が高いようです😩

エンジン内部の点検へ🔧🔧🔧

点火系・燃料系ともに異常が見当たらなかったため、次のステップとしてエンジン内部(メカニカル部分)の確認に進みます。

すると、やはり予想どおり…。
表面的な部品ではなく、さらに奥の内部に原因があることが確認できました。

ここまでくると、内部パーツの摩耗や破損など、機械的なトラブルで間違いない😰

てな訳でエンジン本体の分解作業を進めていきます。

シリンダーヘッドを取り外して内部点検

ここまでの診断結果から、いよいよエンジン内部のメカニカル部分を疑い、
シリンダーヘッドを取り外して、動かない5番の**バルブまわり(バルブトレーン)を確認します。

そして――
出てきたのは、やっぱり「これ」でした。
分解前からある程度予想はしていましたが、実際に見て確信。
原因はやはり、この部分にありました。
削れてしまったバルブリフター

取り外したバルブリフターを見てみると、
ローラー全体にも傷がありますが、回転できなくなって、一部がまったいらに削れた状態です。

このローラーリフターは、従来の**ソリッドリフター(平面タイプ)**と違い、
カム山に接する部分がローラー構造になっているため、
摩擦(フリクションロス)を大幅に低減できる優れた仕組みのはずなんです。
……ところが、その肝心のローラーが削れてしまっては本末転倒ですね😩
カムシャフトを外すためにフロント周りを分解

バルブリフターがここまで削れているということは、
当然、カムシャフト側も同じようにダメージを受けているということになります。
というわけで、原因をしっかり確認するために、
エンジンのフロントまわりを分解してカムシャフトを取り外す作業に入ります。

タイミングチェーンやテンショナーまわりもオイル管理が悪くてスラッジだらけ……
という感じではまったくありません。
内部はむしろきれいで、潤滑状態も悪くなさそうなんです。
それなのに、このカムとリフターの摩耗。
うーん、**なぜここだけ?**という疑問がまた一つ増えました❓🤔

外したカムシャフトはこの通り
「摩耗」と言うより、もはや焼き付き💥状態です。

一般的には、こうしたトラブルはオイル管理の不良が原因とされる事が多いです。
確かに潤滑不足になれば金属同士が直接こすれ合い、このようにカム山が削れてしまうことがあります。

しかし今回のケースでは、特定のカム山だけが極端に削れており、
左右の他のローブはまったく問題なし。
ローラーリフターのローラー部分の固着にしても、なぜこのローラーリフターだけが?

単なるオイル管理の問題だけでは説明がつきにくいところ。なのかと、、、、🤔

GM系のエンジンでも似たような症状を見たことがありますが、
原因を一つに断定するのは本当に難しい…

と、まあ推測ばかりしていてもしょうがないので、作業を進めて行きますよ。

それでも、こうした古き良きアメリカンV8の構造には、現代エンジンにはない“味”と“奥深さ”があるんですよ。

カムシャフトだけでは終わらなかった!

ミスファイヤーの原因はカムシャフトの摩耗で間違いありません。
……が、しかし、それだけでは💀

💀5番ピストンが見事にやられていました。
いわゆる**「棚落ち」**の状態です。

状況を整理するとこうです👇

  • インテーク側(吸気バルブ)は、カムローブが正常に残っているためしっかり開く。
  • エキゾースト側(排気バルブ)は、カムローブが摩耗で消滅しており開かない。

つまり、燃焼室にはガソリンがどんどん送り込まれるのに、
出口が開かない!

その結果がこのピストンの姿、というわけかな?💣💣💀

まあピストンとシリンダーに聞いても答えてくれなかったので、真相は分かりませんが😅

棚落ちした5番は、やはりシリンダー壁にも傷が入っていました。

本来であれば、内燃機屋さんに依頼してボーリング加工を行い、
その後にオーバーサイズピストンを組み込むのが正しい修理方法です。

ただし、ボーリングとなると
部品代・加工費ともに一気にコストが跳ね上がります。
ここはお客様のご希望とご予算のバランスを考慮して、じっくり相談させていただきました。

結果として今回は、
5番シリンダーのみをホーニング(軽研磨)して、新品ピストンを組み込みという内容で進行。
再使用できる部分は最大限活かしつつ、確実に直す方向で作業を進めました。

今回使用したのは純正部品のピストンセット。
このエンジンの場合、ピストン単体ではなく、
ピストン・ピストンリング・コンロッドが一体でのセット販売でした。

純正ならではの精度と信頼性があるので、
この構成で組み直せば普段使いで問題のないエンジンに戻せます。

余談ですが、こちらは右側のシリンダーです。

4ピストン共に綺麗に燃えているようです。これを見ても何故5番だけ?しかもエキゾーストのみ???になります

カムシャフトも純正パーツでリフレッシュ

カムシャフトも純正品を使用して交換しました。
摩耗していたリフターやガスケット類、シール類などもすべて新品に交換し、
一つひとつ丁寧に組み直していきます。
組み付けの最後に、まさかの発見…

エンジンの組み付けもいよいよ最後の仕上げ段階。
そこで――思わぬ発見がありました。

なんと、**ハーモニックバランサー(クランクプーリー)**が、
プーリー部分と本体部分の継ぎ目で分離していたのです。

この部分はカムシャフトとはまったく関係のない箇所ですが、
よくもまあこの状態で今までベルトが問題なく駆動していたな…と思うほどの状態。
とはいえ、今後も長く安心して乗っていただくためには、
こうした“潜在的に危険な部分”は早めの交換がベストです。

写真の通り、新しいバランサーはウエイト部分が大きく設計されており、
改良が加えられているのが分かります。

エンジン復活!作業完了です💪

クランクプーリーも新品に交換し、他のすべての部品を組み付け・調整していよいよエンジン始動!
何度経験しても、この瞬間は少しだけ緊張しますね💧
「大丈夫」と頭では分かっていても、やはり心臓の鼓動が早くなります。
プッシュスイッチを押せば――
異音もなく、エンジンはスムーズに始動!
アイドリングも安定し、気持ちよく回ってくれました。
これにて、今回の作業は無事完了です。✨

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